埼玉県幸手市この町にはチャレンジャー幸手店という小さなパチンコ屋がある。 経営は赤字続きネオンはほとんど切れ今ではパチンコの《パ》の字しか残ってない。
店側も吹っ切れてか店内のボードには新台ありません!なぜなら新台を買う金がないから。その代わり古くて良い台あります。などと書いてあるほどだ。そんなお店チャレンジャー幸手店(※以下幸チャレ)は新たな取組みをした。
それが動画投稿だ。ニコニコ動画、YouTubeなどに投稿することによって知名度が上がり県内外からお客さんが来るようになりだいぶ持ち直した。
かくゆう俺もその動画のファンであり是非行ってみたい(チャリ)と思っていた。スマホで調べてみると厚木経由なら155kmで行けることを知った。
「え、!近いじゃん!!おし!行こう!!」
こうして155km走ってただパチンコを打つだけというまためちゃくちゃな旅が始まった。
「オォボェ~~!!!」
走り始めてから10kmここは箱根の新名所三島スカイウオーク(日本一の吊り橋)俺は、、、
「もうやだぁ~、帰りたい(*´>д<)」
俺は朝食をもうすでに全て戻していた。何を隠そう俺は2日前まで胃腸炎で寝込んでいたのだ!
(浜焼きバイキングで胃腸にクリーンHIT☆)
残り145km先が思いやられる、、、。
ベンチで休んでいるとおじさんに声をかけられた。
「どっから来たの?」
「沼津からです。」
「なんだ地元なんだね。他にもいろんなところ行ったりするのかい?」
「一応日本全国廻りました。」
「そっか、秋田は!男鹿半島は!!」
「秋田は海沿い走ったから男鹿半島は近くを通っただけです。」
そう言うとおじさんは気を良くしたのか両手一杯に甘栗をくれた。
(できればゼリーのような胃腸に優しい物をください( ; ; ))心の声
しかし、おじさんの優しさに触れ少し気が晴れた。
残りの道も自転車押しながら吐きながらでなんとかクリアした。そのまま小田原、厚木と突き進む!小田原~厚木間はのどかな街が続きとても走りやすかった。途中やっぱり胃腸も悪くなってしっかりしたものは食えなかったがおじさんに貰った甘栗、あれが意外とお腹の足しになってちょうど良かった。
そして今までの東京の印象とは違うのどかな東京山間部を超え遂に埼玉県に突入した!
このまま大宮方面に向かえば幸手までもう少しだ。しかし埼玉県を走りながら常々思った「幸手ってどこにあるんだ?」それもそのはず今までの旅のゴールが東京や横浜などの誰もが知っている場所が多かった。大抵は交通標識だけで向かうことができる。しかし幸手??交通標識に幸手まで○kmという文字はいっこうに出てこなかった。
結局標識も見つけられぬまま大宮まで着いた。仕方ないので俺はスマホのナビ片手に幸手まで向かった。街を抜け畑のあぜ道をかけ走る。
「行ける!これなら閉店に間に合うぞ!“パ”が写せる。」
この時俺にはある思いがあった。
例のパチンコ屋“幸チャレ”の金がなくて【パ】しか着いていないネオンだ。これはネタになるから撮っておかなければと思っていた。時刻はもう22時前自然とスピードも速くなる。そして、遂に、動画で見覚えのあるネオンが見えた。
「着いたぁ~幸チャレだぁ~~!!!」
漕ぎながら動画で見覚えのあるネオンに近づく。
え、、、!!!!!!
「ネオンが治ってる。パチンコってついてる。すげぇ~~な!やっぱインターネットってすごいわ!!経営難のお店がインターネットの力でネオン治せる余裕ができたのか!!やっぱりすげぇや!!!」
“パ”が写せなかったことは少し残念だか俺は興奮を覚えた。少しずつ幸チャレの全貌が見えてくる。え、
「パヲンコかよ!!!!!!!」
近づいてネオンを見て俺は突っ込んだ!パチンコの“チ”のネオンの一部分が消えていてパヲンコになっていた。すかさずネオンを通り過ぎて振り返り裏側のネオンを見る。【パ】だ!!やっぱ何も変わってなかったのかよ。いきなり出鼻を挫かれた。
いざ中に入って見ると入口でお客さんと店員さんが話をしている。とてもフレンドリーな感じだ。さて、俺はひげ紳士(オーナー)とえっちゃん(天使)を探すか。
店内をウロウロしていると店員に声をかけられた。
「もしかして動画みてきてくれたんですか?」
「はい!一応沼津からチャリで来ました。」
「えぇ!チャリで凄いですね。今日はひげとえっちゃんお休みなんですよ。ちなみに台見ました?なかなかレアなの揃ってるでしょ~!是非ゆっくりしてて下さいね。あ、ちなみに入口で喋ってたのが幸チャレPね!Pにもチャリで来た人がいるって伝えとくよ♪」
そう言ってまたホールに戻る店員さんを見たあと俺はホールの端にある椅子に座りくつろいでいた。するとさっきの店員さんが戻ってきて
「どうせ休むなら向こうに畳があるのでそこで休んでください(^O^)」
なんとも粋な計らいだ!
畳に寝そべりながらふと思う。今回の旅は凄く人に触れたな、箱根のおじさんもそうだ。道に迷って困っていると道を教えてくれた人もいた。最近気づいたことだか俺はいつの間にか人に甘えることが出来なくなっていた。なんでもやるし、どこへでも行く。友達にもあいつはどこでも生きていけるだろうなどと思われてる程だ。本当は苦手なことだっていっぱいある努力を重ねただけで本当は大して変わっちゃいない。苦手なことは得意な奴に任せて自分は何か代わりのことをやってやればいい。そんな生き方が出来なくなっていた。困っている時は必ず誰かが助けてくれる。そんな風に思うだけで肩の力が降りる。きっと今回の旅だってそうだそんな気持ちでいたからこそ体調の悪い中ここまでたどり着いた。最高の気分だ!
畳から起きてマッサージチェアーに寄りかかっていると幸チャレPがやって来た。
「今日はありがとうございます!!本当にチャリで来ちゃったんすね!今日はひげいないんですけどすいませんね~。明日はひげいますから今日は閉店まであと少しですけどゆっくりして行ってください♪」
パチンコも打たずにダラダラしている俺にそう言ってくれた。とても感じのいい人だ。
そして店は閉店俺は店員さんに近くの漫画喫茶を聞いてそこに泊まることに。
店員さんは教えてくれるだけでなくわざわざ地図まで作ってくれて最後の最後まで凄く親切だ!
俺は心地よい気分で店を出て漫画喫茶までの3km近くの道(田舎過ぎて店がない)を走った。
いよいよ明日はひげさんに会えるぞ!!珍しい台も沢山あるし明日は楽しむぞぉ~~!!!
そして心地良く眠りに着いた。
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